令和3年度税制改正大綱 ⑥ 贈与税

posted by 2020.12.23

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 6回目は贈与税に関する内容で、コロナ禍での景気対策の意味もあって、拡大や延長の方向で改正されています。

 

1.住宅取得資金贈与
<概要>
 父母又は祖父母から住宅取得のための贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、令和3年中の限度額が引き上げられます

<非課税限度>
① 消費税10%
・H31.4.1~R2.3.31:省エネ3000万円、それ以外2500万円
・R2.4.1~R3.3.31 :省エネ1500万円、それ以外1000万円
・R3.4.1~R3.12.31:省エネ1200万円⇒1500万円、それ以外700万円⇒1000万円

② 消費税10%以外(個人間売買など)
・H28.1.1~R2.3.31:省エネ1200万円、それ以外700万円
・R2.4.1~R3.3.31 :省エネ1000万円、それ以外500万円
・R3.4.1~R3.12.31:省エネ800万円⇒1000万円、それ以外300万円⇒500万円

 元々は消費税増税の駆け込みを緩和するために、10%増税後の期間にメリハリをつけていました。
本来なら限度額は下がっていたのですが、1つ前の段階まで引き上げる改正が行われます。

<床面積>
 住宅ローン控除と同様、床面積の下限が50㎡⇒40㎡に引き下げられます。

<時期>
 令和3年1月1日以降の贈与から

 

2.教育資金贈与の非課税
<概要>
 父母又は祖父母から教育資金の贈与を受けた場合には1人当たり最大1500万円まで非課税とされますが、内容を一部見直した上で、令和3年3月31日までの期限が2年延長されます。

<内容の見直し>
① 緩和
・5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設で知事等の許可を受けた施設も教育資金の対象に含める。

② 縮小
・使い切らない段階で贈与した人が亡くなった場合の残高について、相続税の課税対象とし、相続人以外であれば2割加算の対象とする。
・ただし、亡くなった時点で贈与を受けている子や孫が、23歳未満、学生、教育訓練受講中のいずれかであれば相続税の対象としない。

 従来は相続時点では課税がなく、もらった人が30歳になるまでに使い切ればよかったのですが、亡くなった時点で上記の要件を満たさないと相続税がかかるようになりました。
実際に教育費がかかる人に対象を絞り込んだ形になるので、増税になるケースもあります。

<時期>
 令和3年4月1日以後の贈与から

 

3.結婚・子育て資金の贈与税非課税
<概要>
 父母又は祖父母から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合には1000万円まで非課税とされますが、内容を一部見直した上で、令和3年3月31日までの期限が2年延長されます。

<内容の見直し>
① 緩和
・もらう人の年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げ(令和4年4月1日以後)

② 縮小
・使い切らない段階で贈与した人が亡くなった場合の残高について、相続税の2割加算の対象とする。

 孫が1代飛ばしで相続財産を取得した場合、相続税が2割増しになりますが、従来は結婚・子育て資金については対象外でした。
これが改正により2割加算の対象に含まれたため、増税になります。

<時期>
 令和3年4月1日以後の贈与から

 結婚・子育て資金については相続時に残高に課税されることから節税効果がなく、今ひとつ普及していませんでしたが、2割加算の対象となったことでさらに使いづらくなったと言えます。