管理組合への支払いの税務

posted by 2020.08.18

building_syuzen

 マンション管理組合への支払いは税務上特殊な取扱いがあります。
消費税の処理など間違いやすいものもあるので順に見ていきます。

 

1.マンション管理組合とは

 分譲マンションの区分所有者で構成される団体で、マンションの維持管理を目的としています。
法律で設立が義務付けられていて、区分所有者は必ず加入しなければなりません。
総会と理事会によって運営され、清掃や保守点検などの業務は通常外部の管理会社に依頼しています。
賃貸マンションの場合は、管理の主体がオーナーであるため、管理組合はありません。

 

2.マンション管理組合への支払い

 区分所有者が管理組合に支払うものとしては主に ① 管理費、② 修繕積立金、③ 駐車場・駐輪場代 があります。
個人事業主や法人が所有している場合の処理は次の通りです。

 

① 管理費

(イ)法人税・所得税

清掃や保守など日常的な費用に充てられるものであるため、支払時の経費となります。

(ロ)消費税

管理費の支払いは、管理組合にお金を預けているだけで対価性(支払いとサービス提供の対応関係)がありません。
したがって管理組合には消費税の納税義務がなく、支払った側でも消費税は控除できず、『不課税』となります。

 

② 修繕積立金

(イ)法人税・所得税

あくまで積立であり、本来は大規模修繕等で使用した時に経費処理すべきものですが、次の要件を満たしていれば、支払時の経費にできます。

・支払い義務がある
・管理組合に返還義務がない
・将来の修繕等のためだけに使用される
・長期修繕計画に基づき、共有持分に応じて合理的に算出されている

(ロ)消費税

管理費と同じ理由により不課税となります。

 

③ 駐車場・駐輪場代

(イ)法人税・所得税

事業用であれば、支払時の経費にすることができます。

(ロ)消費税

管理組合は”事業として”駐車場の貸付けを行っていないため、受け取った側で消費税の納税義務はありません。したがって支払った側でも消費税を控除できず、『不課税』となります。
なお、管理組合が組合員である区分所有者以外にも駐車場や駐輪場を貸すことがあります。
この場合は”事業として”貸付けが行われていることになるので、支払った側でも消費税を控除することができます。

 

 管理費や駐車場代の消費税が控除できない、というのは違和感があって間違えやすいところです。
裁判で争っている事例もありますが、敗訴しており、現時点では不課税という取扱いになっています。