前回の続きで遺言書保管制度にについて見ていきます。
遺言書保管制度には大きく分けて、遺言者が行う手続きと遺言者死亡後に相続人等が行う手続きとに分かれます。
まず生前に遺言者が行う手続きを確認します。
1.遺言者の手続き
① 申請の流れ
ア.自筆証書遺言作成
・財産目録以外すべて自筆
・サイズはA4で余白などのルールあり
・ハンコは実印でなくてもいいがシャチハタは避けるべき。
・日付は「〇年〇月吉日」ではダメ
・財産目録は不動産謄本や通帳コピーも可。ただし全ページに署名押印必要
イ.保管申請書作成
・機械で読み取る専用紙を法務省HPからダウンロード
ウ.法務局へ予約
・遺言者の住所地、本籍地、不動産所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所を選択
・保管所は各都道府県に3か所以上あり。大阪なら本局、堺、岸和田、北大阪、富田林、東大阪の各支局
・申請や閲覧など全ての手続きに予約が必須(HP、電話、窓口にて)
エ.本人が申請
・必要書類:遺言書、申請書、住民票写し、本人確認書類、手数料(3900円)
・手続き終了後に保管証を受け取り(保管番号が重要)
・病気等で本人が出頭できない場合には保管制度は使えません(⇒出張してもらえる公正証書遺言の利用を検討)
② 閲覧と撤回
・遺言した人は全国どの遺言書保管所でも閲覧できます。
・閲覧には予約が必要で手数料もかかります。
・撤回して返却してもらうことも可能。内容を変更する場合は「撤回+再度申請」が遺志が分かりやすいので推奨されています。
・氏名や住所等に変更があれば届出が必要です。
遺言者の手続きについては、従来の公正証書遺言を簡略化して費用も抑えたものになっています。
保管所では遺言書の内容についての相談はできませんが、法的な有効性のチェックはしてくれるので、遺言についてのハードルは下げつつ有効性を確保するものとなっています。
相続人等の手続きについては次回へ続きます。