雇用調整助成金またもや変更

posted by 2020.05.7

meiro_irikunda

 月が変わって4月分の勤怠が確定したので、4月分の雇用調整助成金の申請ができるタイミングですが、少し待った方が良さそうです。
詳細は来週以降に発表されるようですが、何段階かの制度変更を経ても依然として「難しすぎる」のでさらに簡素化されます。
また助成額算定以外の部分でも改善が進められます。

 

1.助成額算定の簡略化

① 小規模(概ね従業員20人以下)であればの前年の労働保険申告書ではなく、「実際の休業手当額」を使って助成額を算定可能に。

前:助成額=労働保険の年間賃金総額÷月平均被保険者数÷年間所定労働日数

後:助成額=実際に支払った休業手当額×助成率

② 小規模以外でも「平均賃金額」の算定方法を簡素化

前:賃金及び人数は労働保険の申告書を使用

後:賃金及び人数は源泉所得税の納付書も使用可能に。

前:所定労働日数は就業規則を元に年間休日を引いて算定。カレンダー等も添付。

後:休業実施前の任意の1か月も使用可能に。

 

2.社労士の連帯責任解除

 申請には多くの書類が必要ですが、中小企業では全て完備されていない場合があります。
雇用調整助成金を申請するために、給与台帳や出勤簿を事後的に作成した場合はある意味では事実と異なる”不正”となり、申請を代行した社労士さんは、連帯債務、氏名公表、5年間の助成金の申請禁止などの罰則があります。
この罰則も申請の障害となっていることから故意の不正でない限り、社労士さんへの罰則を科さない方向です。

 

3.上限額の引き上げ(検討中)

 現状は1日当たり8,330円ですが、実際にはこれ以上支給することも多く、企業の負担となっているため、引き上げる方向で検討されています。

 

4.オンライン申請

 現状ではすべて紙ベースでの申請ですが、2022年に開始予定だったオンライン申請を今年の5月から開始する方向で検討されています。

 

 とにかく使いにくく複雑な雇用調整助成金ですが、少しずつ改善はされてきています。
支給開始までの期間も3~6か月かかることが予想され、資金繰りの足しになっていませんが、一連の改善でこの期間を2週間程度にすることを目標に進められてます。

 要件を満たさない、書類が揃わない、複雑すぎるといった理由で断念した企業も新制度の詳細が明らかになった時点でもう一度検討してみる価値はありそうです。