買いたたきと消費税

posted by 2019.09.27

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 前回の消費税増税と今回の消費税増税とを比較してみると、前回あった”買いたたき”に関して今回はほとんど聞きません。
”買いたたき”というのは、例えば消費税が2%上がるので、取引条件をその分変更して、下請け先に増税分を負担させるようなやり方です。

 これは公正取引委員会が消費税転嫁法に基づいて厳しくチェック、指導してきたためと思われます。
中小企業の側にも何度も郵便が届いて、買いたたきや下請けいじめに遭っていないかという確認がありました。

 

 そんな中、先日ニュースに出ていたのが、賃貸住宅大手D社による消費税の未払いが30億円あったというもの。
5%から8%になった時の話なので、2014年分です。

 D社が賃貸物件オーナーから一括借り上げした物件に関して、入居者からは8%で受け取っていたにもかかわらず、オーナーには5%対応分しか払っていなかったようです。
差額については今後返金されるのですが、この分の税金はどうなるのでしょうか。

 

 これはさかのぼって修正申告する必要はなく、確定した事業年度の利益にすることになります。
ただ急に数百万入ってくると臨時的な利益となり、法人税が発生します。

 消費税に関しても同様で、確定した事業年度の売上として消費税を計算しますが、売上げが微妙なラインにあればあとあと影響が出てくることもあり得ます。
例えば、課税売上げが980万円で免税だった場合には、追加分で1000万円超となり、2年後に課税事業者になります。
また課税売上げが4900万円で簡易課税だった場合には、追加分で5000万円超となり、2年後に原則事業者になります。

 

 法人税や所得税に関しては、受け取った収入の中から税金を払えますが、消費税に関しては、想定外の税負担が発生することもあり得るので注意しましょう。