配偶者居住権とは ③ 土地評価

posted by 2019.09.20

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 前回、建物の相続税評価だけで1回使ってしまいましたが、続きで土地を見ていきます。
土地の場合は、建物ほど複雑ではありません。

 

2.土地の評価

① 考え方

 建物はかなり複雑でしたが、土地は耐用年数がない分まだマシです。
土地の時価を配偶者居住権の存続期間に応じて、運用利回りで今の価値に割り戻して評価します。

 

② 敷地所有権(底地)の評価額

 土地の時価×配偶者居住権の存続年数に応じた複利現価率

 

③ 配偶者居住権に基づく敷地利用権の評価額

 土地の時価-①の敷地所有権の評価額

 

(例)
・土地の時価(路線価評価額):3000万円

・配偶者居住権の存続期間:終身⇒75歳女性の平均余命は15年(3%の複利現価率は0.642)

★ 敷地所有権の評価額

 3000万円×0.642=1926万円

★ 配偶者居住権に基づく敷地利用権の評価額

 3000万円-1926万円=1074万円

 

3.評価のまとめ

 複雑な算式は税理士が知っていればいいので、イメージをつかむために、どういうケースで配偶者居住権の評価が変動するか整理しておきます。

・建物が古いほど高くなる(残存耐用年数が短い)。

・木造より軽量鉄骨、軽量鉄骨より鉄骨鉄筋の方が低くなる(残存耐用年数が長い)。

・配偶者居住権が終身なら配偶者が若いほど高くなる(存続年数が長い)。

・男性より女性の方が高くなる(平均余命が長い)。

・「建物の築年数≧法定耐用年数」であれば、建物所有権の評価が0になり、建物全額が配偶者居住権となる。

・「残存耐用年数≦配偶者居住権の存続年数」であれば、建物所有権の評価が0になるので、建物全額が配偶者居住権となる。

 

 配偶者居住権とその敷地の評価について確認しましたが、この時点では1つの財産の評価を2つに分けただけでプラスでもマイナスでもありません。

 結局、節税につながるものなのか、使うべきものなのか、という点は次回へ続きます。