節税保険の改正(案)

posted by 2019.04.15

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 2月下旬に全額経費になる節税保険の販売が自粛されてから1ヶ月ちょっと。
早くも国税庁のHPでパブリックコメント(「パブコメ」)の手続きが行われています。
パブコメとは政令等を改正する際にあらかじめ国民から広く意見を公募する手続きで、今回は4/11から5/10まで募集されています。
よほどのことがない限り、パブコメ案のまま実施されるので内容をご紹介します。

 

<趣旨>

長期の定期保険や逓増定期保険は、前半の保険料に前払部分が相当含まれており、解約すると返戻金も多い。このような保険を全額経費にすることは適正な期間計算を損なうため、前払部分は資産計上すべき

・がん保険や医療保険の取り扱いもこの際、長期の定期保険等と取扱いを統一する。

 

<対象となる保険>

・法人が契約者、役員又は使用人が被保険者

保険期間3年以上の定期保険又はがん保険、医療保険

 

<具体的基準>

① 最高解約返戻率50%以下

・変更なし(全額損金)

 

② 最高解約返戻率50%超70%以下

・前半40%の期間:保険料の60%が損金、40%が資産。

・資産計上額は後半25%の期間で均等に取り崩して損金処理。

 

③ 最高解約返戻率70%超85%以下

・前半40%の期間:保険料の40%が損金、60%が資産

・資産計上額は後半25%の期間で均等に取り崩して損金処理。

 

④ 最高解約返戻率85%超

・開始~返戻ピークまでの期間※1:保険料の30%が損金、70%が資産※2

・資産計上額は返戻ピークから残りの期間で均等に取り崩して損金処理。

※1
 返戻ピークが5年未満なら5年、保険期間が10年未満なら半分の期間。

※2
 保険開始から10年以内は90%を資産計上。

 

 ②③と④で急に扱いが変わっています。
これは解約返戻率が85%を超えるものは特に節税の意味合いが強いことから厳しめにしてあるためで、50%超85%以下のものはある程度割り切って現状の長期平準保険に似た取扱いになっています。

 またよく見ると②③では資産計上期間と取り崩しの期間の間に隙間があります。
例えば40年の保険なら前半16年は資産計上、それを取り崩すのは14年空けて後半10年となっています。
これは前半40%の期間が終わっても解約返戻金のピークに向かってまだ前払部分が発生するため、損金処理するまでの据置期間が設けられているためです。

 

 このまま改正されるとなると、ギリギリを狙った保険、例えば解約返戻率が50%以下あるいは85%以下の保険が開発されて、いたちごっこは今後も続きそうです。

 なお、今回の通達改正前に契約された保険については従来の取扱いになります。