認定支援機関による税制優遇(新事業承継税制)

posted by 2018.06.14

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 認定支援機関が絡む税制優遇の3つ目として事業承継税制を取り上げます。
平成30年4月1日から新しい事業承継税制が始まっています。
10年間限定で株の100%の納税猶予を認める、雇用維持80%を緩和するなど使いやすくなっています。

 認定支援機関が関わるのは次の2つの場面です。

 

<特例承継計画の作成>

 最初のステップとして『特例承継計画』を作成して都道府県に提出します。
これはあくまで計画であって10年以内に事業承継を実行する上での青写真というレベルです。
具体的な記載内容は次の通りです。

・会社概要(事業内容、資本金、従業員数、代表者及び後継者氏名)

・株式承継の予定時期、承継までの課題と対策

・承継後5年間の事業計画(取り組みの目的と効果)

認定支援機関による助言と指導の内容

 

 こう書くと難しそうですが、書く量は少ないのでだいたいの内容で結構ですし、あくまで計画なので内容は変わっても構いません。

 認定支援機関「事業承継を行う時期や準備状況、事業承継時までの経営上の課題とその対処方針、事業承継後の事業計画の実現性など、円滑な事業承継を後押しするための指導及び助言」を行なってその内容を記載することになっています。

 

<雇用減少時の指導及び助言>

 事業承継税制の適用を受けた企業は5年間、雇用の8割を維持する必要があります。
改正前は5年平均で8割を維持できなければ納税猶予取り消しでしたが、改正で緩和され、都道府県に理由を報告すればOKとなりました。

 雇用維持できなかった理由は次の5つから選びます。

① 高齢化が進み後を引き継ぐ者を確保できなかった
② 採用活動を行ったが、人手不足から採用に至らなかった
③ 設備投資等、生産性が向上したため人手が不要となった
④ 経営状況の悪化により、雇用を継続できなくなった
⑤ その他(具体的に理由を記載)

 認定支援機関①②③に関しては内容確認を行ない、④⑤に関しては指導及び助言を行ない、所見を記載します。

 

 計画作成にしろ、その後の雇用維持にしろ、先代及び後継者とコミュニケーションを取りながら会社の内容を十分に理解しないと書けない内容となっています。

 事業承継税制は相続税及び贈与税が納税猶予となる税金面のメリットも大きいですが、せっかくの制度なので認定支援機関を上手に使って事業承継を進めるきっかけにしてもらいたいところです。