法定相続情報での相続税申告

posted by 2018.05.17

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 前回の続きで法定相続情報証明制度について見ていきます。
制度ができたのは昨年5月29日ですが、相続税の申告に使えるようになったのは今年の4月1日以降の申告からです。
同時でも良かったように思いますが時期がずれたのは目的が違うことから調整が必要だったと考えられます。

・相続登記…相続人を確定して登記をする。

・相続申告相続人を確定して相続税を計算する。

 

 具体的には”養子”の取扱いが変わります。
登記に関しては実子と養子を特に区別せず、「子」と記載してあれば手続きできます。
ただ相続税の計算においては実子と養子では税額が異なるため、法定相続情報一覧図(家系図)に養子であることが明示されている必要があります。
法務局の一覧図は申請した家系図をスキャンしたものに登記官がハンコを押して発行するので、申請する際に「長男」「養子」など戸籍の続柄で記載します。

 

 民法上は養子は何人でも可能で全員に相続権が発生しますが、相続税の計算上、法定相続人の数としてカウントされるのは養子は1人(実子がなければ2人)までです。
昔、ものすごい数の養子をとって節税した人がいたために相続税の計算上は養子の数が制限されています。

 

 今回の一覧図の採用と同時に相続税申告書の添付書類が簡略化されたので整理しておきます。

① 従来通り(被相続人及び相続人の戸籍謄本、住民票、印鑑証明等の原本)

② 法定相続情報一覧図の写し(法務局で発行したもの)

③ ①または②のコピー

なお養子がいる場合は、養子の戸籍謄本(コピーも可)が必要です。
これは②の一覧図があっても同じです。

コピーがOKになったので従来に比べると費用は少なくて済みそうです。