ナッジと税金

posted by 2018.04.4

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 今流行りの行動経済学の理論に「ナッジ(nudge)」というものがあります。
直訳すると「ひじで軽く突く」という意味ですが、「選択肢をうまく設計・配置することで人の背中を押すように自発的に人々に適切な選択をさせる」手法を言います。

 

 身近な例としてはこんなものがあります。

・レストランのメニューで「店長のおすすめ」を注文してしまう。

・コンビニのレジの前に足跡をつけておき、そこに並ぶように誘導する。

 

 この理論を提唱したのがセイラ―シカゴ大教授で2017年のノーベル経済学賞を受賞しています。
注目されているのはノーベル賞を受賞したこともありますが、税金など公共政策において活用され、効果を上げているためです。

 

 有名なのはイギリスで税金の納付率を68%から83%に上昇させた事例です。
税金の滞納者に通知を送る際に「早く払って下さい!」ではなく「あなたが住んでいる地域のほとんどの人が期限内に納税を済ませています」という事実を伝える手紙を入れたことで、結果的に納税を促しています。

 またカナダの歳入庁では電子申告を促すレターを送る際、はがきではなく茶封筒で送っています。
はがきだと捨てられてしまい効果がなかったものが、茶封筒だと開封してもらえ、電子申告の比率が上がったようです。

 日本では環境省が省エネのための実証実験を今行なっています。
世帯ごとに光熱費の使用データや節約方法をまとめたレポートを送付することで、構成の似た家庭と比較しながら省エネ行動を取ることが期待されています。

 

 マーケティング面ではあちこちで活用されており、何でも誘導されていそうで怖い気もしますが、公共政策においていい方向に誘導され、行政コストも抑えられるのであればうまく活用して欲しいところです。

 

さて、あなたの周りにはどんな「ナッジ」があるでしょうか?