税制改正大綱 ⑱ 最終回 検討事項

posted by 2018.01.22

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 やっと最終回。
毎年税制改正について取り上げていますが18回も書いたのは初めてです。
それだけ改正項目が多い、特に影響のある内容が多い税制改正大綱と言えるかも知れません。
それでも改正に至らずに来年以降の「検討事項」になったものもあります。
今後の方向性が見えるので主なものを紹介していきます。

 

1.年金課税

「企業年金、株や預金、給与課税等とのバランスに留意して、公的年金等控除の見直しや年金制度改革の方向性も踏まえて、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する。」

 要するに優遇を縮小する方向と考えらえますが、年金財政が厳しい分、自分で年金を用意できるよう拠出や運用の優遇は拡大されるかも知れません

 

2.金融所得課税

「総合取引所実現にも資するので証券・金融・商品など金融所得課税の更なる一体化を進めるが、租税回避行為の防止を検討する」

 要するに投資に対する課税を分かりやすく一本化して活性化していこうというものです。

 

3.小規模企業への課税

「個人事業主、同族会社、サラリーマンの課税のあり方に配慮しつつ、個人と法人成り企業との課税のバランスを図るために、給与所得控除と人的控除を引き続き見直す。

 要するに会社を作って節税することに歯止めをかけたいようです

 

4.ひとり親への税制上の対応

「いわゆる未婚の母への税制上の対応について来年度の改正で決定する。」

 要するに寡婦控除を認める、ということだと考えれます。

 

5.個人事業者の事業承継

「個人事業の継続に不可欠な事業用資産の範囲を明確にし、承継の円滑化を促進するための枠組みを検討する。」

 要するに個人にも事業承継税制を導入する方向と考えられます。

 

6.医療と消費税

高額な設備投資で消費税を払っているので、医療関係者や保険者の意見を踏まえ、来年度改正で決定する。
また社保診療に係る事業税非課税や医療法人に対する軽減税率について、地域医療の確保を図る観点から検討する。」

 要するに非課税売上がほとんどで消費税の控除ができない医療機関にも何らかの形で控除を認めるようです。
事業税非課税や軽減税率については都市部で増税、地方で減税という考え方なのかも知れません。

 

7.ゴルフ場利用税

「今後長期的に検討する。」

 廃止する気があるのかないのかよく分からない表現です。

 

 ”検討する”となっているものは財務省の要望、各業界の要望がベースなのでいつになるかは政治情勢等にもよりますが、”来年結論を得る”とはっきり書いてある「未婚の母への寡婦控除」「医療機関の仕入税額控除」については来年に決まりそうです。

 検討項目の中では小規模事業者への課税が強化されそうなので今後も注意深く見ていきたいと思います。