長々と書いてきた税制改正大綱もあと2回。
今回は報道の扱いは小さいものの一部の人には影響の大きい”小ネタ”を取り上げます。
1.放置土地の登録免許税免税
<趣旨>
相続があっても登記されず所有者不明の土地は災害時や開発時の障害となっています。
そこで登録免許税を免除して相続登記を推進しようとするものです。
<内容>
・相続した人が所有権移転登記をしないまま死亡した場合に、その死亡した人を登記名義人とする移転登記の登録免許税を免除する。
・行政目的のために相続登記を促進すべき地域において、土地の価額が10万円以下のときは登録免許税を免除する。
<適用時期>
・前者は平成30年4月1日~平成33年3月31日まで、後者は特別措置法施行日~平成33年3月31日まで。
2.国民健康保険の上限引き上げ
<内容>
・国民健康保険の上限が54万円⇒58万円にアップします。
・後期高齢者支援金の19万円、介護分の16万円と合わせると年間93万円が上限となります。
3.割賦販売の延払基準の廃止
<趣旨>
3回以上の分割、期間2年以上、頭金が2/3以下の販売であれば入金時の売上にできる例外的な処理が延払基準。
この特例が廃止され、最初の販売確定時に法人税も消費税も払うことになります。
従来は入金に合わせて税金を払う処理が選択できたのにそれがなくなる分、資金繰的には厳しくなると言えます。
<内容>
・平成30年4月1日までの販売分について、平成35年3月31日までに開始する事業年度においては現行の延払基準で計上可能。
・延払基準をやめると繰り延べた利益が一気に実現してしまうので10年均等で少しずつ利益を計上する。
4.返品調整引当金の廃止
<内容>
・出版、アパレル、化粧品の製造販売業等においては返品実績を元に引当金を経費処理できましたがこれが廃止されます。
<適用時期>
・平成33年3月31日までに開始する事業年度においては現行の引当可能。
・平成33年4月1日以降に開始する事業年度から10年かけて限度額を縮小。
割賦販売や返品調整に関しては例外を減らしてシンプルにするというか、例外を認めるだけの税収の余裕がないという面もありそうです。
思いもよらない改正で税負担が増えることもあるので改正内容はしっかりチェックしておきましょう。