平成18年の改正で「一般社団法人」という簡単に作れる社団法人が誕生しました。
株式会社より手軽でイメージもいいことから非営利事業や同業者団体などに使われてきましたが、その一方で相続税の節税手段にもなっていました。
どういう理屈かというと一般社団法人は人の集まりが原則なので株式会社のような出資をすることなく作ることができます。
その一般社団法人に不動産などの財産を移してしまえば、その不動産は永久に相続税の対象になりませんし、株式会社のように株価が上がっていって株の引き継ぎの際に相続税がかかることもありません。
今回の税制改正大綱ではこのような節税を封じ込める内容が盛り込まれています。
<対象>(特定一般社団法人等)
・相続開始直前の同族役員の割合が過半数。
・相続開始前5年以内の期間のうち、同族役員が過半数となる期間が3年以上。
・同族役員:理事のうち被相続人の配偶者と3親等内の親族等。
<計算方法>
・理事(死亡時点及び5年以内)が死亡した場合には特定一般社団法人等に相続税を課する。
・特定一般社団法人等の純資産÷同族役員数=相続税の課税対象。
<改正時期>
・平成30年4月1日以後の理事の相続から。
・ただしそれ以前に設立された一般社団法人については平成33年(2021年)4月1日以後の理事の相続から。
一般社団法人に出資がなくても、理事の頭割りで法人に遺贈したという理屈で相続税をかける仕組みになっています。
すでにこの対策を実行している場合に改正の対象から外れるには同族役員の割合を1/2未満にする必要があります。
家族だけの法人に役員として第三者を入れるのは現実的には難しいかも知れません。
また法人に不動産を移す際に譲渡所得税や不動産取得税などを払っているケースもあり、厳しい内容の改正と言えます。