ラリーカーと源泉所得税

posted by 2017.10.17

ae2b5c9890a3dc07b0b051c90eacdad3

 先週の新聞報道で「トヨタ、ラリーカー開発などを巡り3億円超の源泉徴収漏れ」というものがありました。
3億円という金額も巨額ですが、車好き、レース好きとしても気になるニュースだったので解説してみたいと思います。

 このニュースは”脱税”でも”単純なミス”でもなく、国と国との税金の綱引きのようなところがあります。
まず日本の企業が日本で稼いだ利益には日本の法人税がかかります。
また海外の企業が日本で稼いだ利益にも日本の法人税がかかります。
後者のように所得が生じた場所や原因が日本国内にあるものを『国内源泉所得』と言います。
税金の納め方は所得の種類によっても変わりますが、今回のような”使用料”に関しては支払う側(トヨタ)があらかじめ20.42%を天引きしなければなりません
この天引き(源泉徴収)ができていないことを指摘され、3億円超の追徴課税に到っています。

 ではなぜ源泉徴収していなかったかというとあくまで”開発費”として支払ったため、”使用料”ではないと解釈していたと考えられます。
開発費であれば受け取った現地子会社が売上として申告して現地の法人税を払えば税金のもれはありません。
ところが今回の調査で支払った額のうち9億円は開発費ではなく源泉徴収の必要な知的財産の使用料と認定されたようです。

 

 過去には日本のiTunes社が米アップルに払った使用料に関して120億円の追徴課税をされた例もあります。

 国をまたいでサービスや情報が行き来する中、各国の税務当局も監視を強めています。
海外への支払いをする場合はあとで追徴されないよう、源泉徴収の必要があるかどうか十分に検討しておきましょう。