コミットメントライン契約を結ぶ企業が増えています。
契約数は1万件超と過去最高を記録し、総額30兆円に及びます。
コミットメントラインとは一言でいうと銀行が融資枠を約束(コミット)する契約であらかじめ設定した金額の上限内でいつでもお金を借りられます。
契約時に審査があるので、以前は優良大企業しか契約できませんでしたが、中堅中小企業の契約も増えています。
増加の背景としては次のような事情があります。
<企業側>
・先行き不透明で資金は確保したいが、融資残高は増やしたくない。
・都度の審査なしに借りられるのでM&Aや季節変動など急な資金需要に対応できる。
・金利を固定化できる。
<銀行側>
・業績回復で審査をクリアできる企業が増えた。
・融資残高が増えない中、手数料で稼げる。
似た制度として「当座貸越」というものもあります。
当座貸越は当座預金が赤字になっても支払ができる枠を設定するもので機動的に資金調達できる点は似ています。
違いは当座貸越には手数料がかからないことと、銀行の裁量で契約解除できることです。
コミットメントラインは事前の契約条件さえ満たしていれば融資を断られることはないので安定性は高いですが、その分手数料はかかります。
コミットメントラインは優良企業で機動的に使われる一方、ジャパンディスプレイや東芝のように当面の資金を確保するために使われることもあります。
安くない手数料がかかるだけに銀行から勧められても本当に必要がどうか検討した上で契約しましょう。