財産・債務の確認
相続対策は現状を正確に把握することから始まります。相続対策は外科手術です。失敗は許されません。より詳細なカルテが必要不可欠です。
何が相続財産となるのか? 相続人は誰か? 相続税はいくらなのか? 次に、どの財産を誰に相続させたいのか又は均等に相続させたいのかなどの相続への希望も早めに、かつ、具体的に考えることも重要です。また、納税資金が確保されているかの確認も行います。
遺言書の作成
相続が発生しても相続税が発生するのは100人中5人ほどです。それにも係わらず相続に関するトラブルが多発するのは、遺産分割協議がまとまらないからです。
そこで、遺された相続人に確実に遺志を伝え、遺産分割への道筋を示しておくことは相続トラブルを回避する上で、とても重要なことです。
■ 自筆証書遺言
遺言者が単独で作成します。簡単に作成できますが紛失や改ざんの恐れがあります。
■ 公正証書遺言
公証人が内容を確認して作成します。紛失や無効とされる恐れがなくなりますが、費用がかかります。
■ 秘密証書遺言
公証人が関与しますが内容の確認はしません。遺言の内容を秘密にできますが、費用がかかります。
関連ページ 『相続基礎講座』 遺言
生前贈与の実行
贈与を実行した場合としなかった場合では、将来の相続税負担に必ず大きな差が出ます。しかし、贈与税は暦年課税ですので、一度に多額の贈与をすると税負担が大きくなります。
そこで、税負担の少ない贈与を受贈者をよく考えて長期間計画的に実行することが重要です。
また、事業を営む経営者にとって一番の悩みの種はスム-ズな事業承継問題です。生前に株を贈与し経営権を次の世代に移すことは、銀行や得意先にも好印象を与えることになりますし、従業員にとっても企業の継続性という安心感は心強いものです。
関連ページ 『相続基礎講座』 贈与税の計算
関連ページ 『相続基礎講座』 相続時精算課税制度
土地の活用
相続財産のうちに土地の占める割合が大きい方は、土地の価額そのものが高額であるため、相続税額が大きくなる傾向にあります。
土地は、その形状や状況で評価減がされますが利用状況によっても評価減を受けることができます。例えば、土地にアパ-トを建築することにより更地の場合と比べ約20%評価減されます。もし建築の際に借金があれば、さらに節税効果が大きくなります。
しかし、土地に関して安易な相続対策を行うと、空室や金利変動等のリスク及び借金まで次の世代に残すことになりかねません。節税効果をよく見極めて、対策によって波及するデメリットにも充分注意が必要です。
関連ページ 『相続基礎講座』 財産評価
生命保険の見直し
生命保険は契約形態により課税方法が異なります。加入目的を明確にし、それに最もふさわしい保険と契約形態を選ぶことが重要です。なお、死亡保険金は契約形態を工夫することにより、相続税法上非課税規定が適用されますので、他の金融資産と比べて有利な取扱いを受けることができます。
関連ページ 『相続基礎講座』 相続税のかからない財産
養子縁組の活用
養子縁組とは、実際の血縁関係と関係なく人為的に親子関係を発生させることをいいます。
民法上、養子の数に制限はありませんが、相続税法上は過度の租税回避行為に対応するため、制限が設けられています。むやみに相続人を増やすことは争続のもとですが、様々な相続対策の中で、その多様な効果と簡便性から必ず考慮すべき対策の一つです。