配当はすべき?②

posted by 2017.08.17

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 前回、中小企業と配当について”分配”の面から取り上げましたが、今回は”税金”をメインに見ていきます。

 経営陣=大株主、もっと言えば役員1人=株主1人の非上場会社であれば配当でもらう場合と役員報酬でもらう場合で税金に違いはあるのでしょうか。

 

<役員報酬が有利>

① 給与所得控除

役員報酬も給与の一種なので受け取る際にはサラリーマンの経費である給与所得控除が使えます。
例えば年収1000万円であれば220万円控除できるので配当を1000万円出すより、220万円分個人の所得が圧縮されます。

② 役員報酬の経費算入

役員報酬は定期同額であれば経費になりますが、配当は法人税を払った後の税引後利益から行ないますので経費にはなっていません
同じ金額を出すのであれば法人税分、役員報酬の方が節税になります。

なお①②共通ですが、利益が出たからと言って期の途中で役員報酬を変えたり、賞与を出したりはできませんので調整するのであれば翌期になります。

 

<配当が有利>

③ 確定申告不要制度

配当が少額であれば所得税の確定申告をする必要がありません
”少額”とは年1回の配当であれば10万円までです。
20.42%を源泉徴収されますが、税率がそれ以上になることはありません。なお所得税は確定申告不要ですが住民税は申告が必要です。

④ 配当控除

確定申告をする場合、配当に応じて税額控除が受けられます。
これは法人税と所得税の二重課税を防ぐための制度です。
計算は複雑ですが簡単に言うと課税総所得が1000万円以下なら配当の10%、1000万円超なら配当の5%です。
また住民税にも2.8%(1000万円超は1.4%)の配当控除があります。

 

 配当が有利か役員報酬が有利なのかは①~④を考慮して判断する必要があります。
さらに言えば個人の他の所得がどれぐらいあるか、法人の利益がどれぐらいあるかなど様々な要素が絡むので計算してみないと分かりません。

それでは答えにならないので次回数字を入れて検証してみます。