空室と相続評価②

posted by 2017.08.2

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 前回の続きで空室の場合の不動産の相続評価について見ていきます。
空室の部分は”貸していない”ことになり相続評価が高くなります”たまたま一時的に空室”の場合はどうなるのでしょうか。

 

 ”一時的に空室”であれば賃貸物件として借家権部分も引けるのですが次の事実関係を踏まえて総合的に判断します。

① 継続的に賃貸。
② 空室になったあと速やかに募集開始。
③ 空室期間に他の用途に使われていない。
④ 空室期間が相続前後の一時的な期間(例えば1ヶ月程度)。
⑤ 相続後の賃貸が一時的でない(形式だけ満たそうとしていない)。

 

 最近出た大阪高裁の判決でポイントとなったのが④の空室期間の長さ
この事例では最も長い空室期間が59ヶ月、最も短い期間で5ヶ月でした。
裁判所の判断は「5ヶ月は期間としては長く、重要な要素なので考慮せずに評価することは認められない」というものでした。

 また5ヶ月という期間だけでなく、全体で4割が空室、5年近く空室の部屋が多数あったことも総合的な判断材料となったと考えられます。
さすがに空室を無視できない状況にあったことから国の主張が認められ、空室部分の借家権は引けませんでした

 

 今回の判例をもって「1ヶ月を超えればもう空室扱い」という極端な話にはなりませんが、判例は目安にはなるので今後空室のある物件を評価する際はメリハリをつけて慎重に評価する必要がありそうです