申告期限は延長すべき!?

posted by 2017.02.6

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 平成29年度税制改正大綱の中に法人税の申告期限が決算後3ヶ月以内から半年以内に延長される、というものがありました。
決算業務をしている方からすると決算の時期は少しでも遅い方が落ち着いて処理できるので延長した方がいいのでしょうか。

 改正の趣旨はカッコよく言うと「コーポレートガバナンスの強化」です。
現行では3月決算の申告期限が6月末であるため、上場企業の株主総会の時期も6月末に9割が集中しています。
複数企業に投資する機関投資家は日が重なると出席できない上、そもそも決算内容を検討する時間が足りないため、欧米と比べて企業と株主との対話不足が言われてきました。

 そこで期限が延長されたのですが、すぐには日が分散されることは無さそうです。
理由としては次のような点があります。
・印刷の手配は2年前に終わらせている。
・株主総会で決める役員人事の決定時期も遅くなる。
・業績が悪い時に目立ちたくない。

 どうも3つ目が一番本音のようで実際に延長を検討している上場企業はまだ少ないようです。

 

 では上場企業のように情報開示しない中小企業は期限を延長した方がいいのでしょうか
延長には「会計監査人等の監査を受けなければならないの理由が必要ですが不可能ではありません。

 しかし3ヶ月以内に延長できる現状においても中小企業で延長しているところはほとんどありません
というのも申告期限を延長して納付も延長すると利子税(今年は1.7%)がかかるためです。
そのため申告期限を延長している上場企業でも本来の期限である2ヶ月以内に法人税の計算をほぼ終わらせて「見込み納付」をしています。

 というわけで利子税を払いたくなければ結局決算作業を2ヶ月以内に終わらせる必要があり、上場してなければほぼメリットはありません。
利子税も改正されれば話は別ですがどうもそういうことは無さそうです。