平成29年税制改正大綱 ⑩企業統治改革と事業再編整備

posted by 2016.12.26


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 法人税減税の続きで「企業統治改革と事業再編整備」を見ていきます。

 

<申告期限を4ヶ月へ延長>

企業統治、英語で言うとコーポレートガバナンスですが、企業と投資家の対話を充実させるために法人税の申告期限が3ヶ月以内から4ヶ月以内へ延長されます。
現状では株主総会が6/28頃に5~6割が集中して株主も参加できないため、柔軟に株主総会の開催日を設定できるように1ヶ月伸びます。

 

<役員給与を柔軟に>

・利益連動給与の指標追加
・事前確定届出給与に株式による交付を追加
定期同額給与の範囲に手取りベースでの同額を追加(税や社会保険料の影響を排除)

 

<スピンオフをしやすく>

現状では社内の一事業を分社する際に含み益に法人税がかかり、株主も配当課税されていたのでスピンオフの障害になっていました。
そこで一定要件を満たした場合に限り、法人税及び配当課税が繰り延べられることになりました。
また100%子会社の組織再編等についても譲渡損益を計上しないよう整備されます。

一定要件(主なもの)
・株主には新会社の株主のみを交付。
・従業員の8割を継続雇用。
・新会社で分割事業を継続。
・役員などキーパーソンが新会社の役員になる。

 

 主に大企業を想定した環境整備ですが、中小企業に関係する部分としては役員報酬の柔軟化があります。
手取りでいくら出す、と決めていても税金や社会保険で変動してしまいますが、平成29年4月以降は手取りで同額なら”定期同額”と認められます。