消費税の不正還付

posted by 2016.10.21

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  「消費税を不正に還付して逮捕された」というニュースが時々報道されます。
内容としてはだいたい2パターンのどちらかで、①課税仕入れ自体が架空②輸出免税を悪用したものとがあります。

 

① 課税仕入れが架空

取引先や関係会社と共謀して「外注費」などの名目で経費があったことにするというパターンです。
還付になるということは経費の方がかなり多いことになるので商売として不自然なだけに目立ちますし、調査の対象にはなりやすいでしょう。

 

② 輸出免税を悪用

消費税は国内で消費されるものにかける税金なので税関を通して輸出されるものや外国人観光客が免税店で買って本国に持って帰るものには消費税はかかりません

似た取引に非課税取引があります。
土地の売買や病院での診察には消費税がかかりませんが、これは土地はそもそも消費されないという性質から、病院については福祉の観点から非課税となっています。

支払った経費の消費税を控除できるのは、売上の消費税を受け取っている場合だけです。
非課税売上は消費税なしで販売できて国にも消費税を治める必要もありませんが仕入れや経費の消費税も引くことができません
これに対し、輸出免税は仕入れや経費の消費税を引くことができます
もし引けないと仕入れや経費のコストが消費税分高くなり、国際的な競争力が低下するためです。

そこで輸出取引を0%の課税売上げと解釈して払った消費税を控除(還付)できるようにしています。
長い解説になりましたが、要するに輸出した体にして消費税を国に納めず、払った消費税は全額控除して還付を受ける、というのが輸出の場合の不正還付です。

 

 消費税は元々預り金的性格を持つこと、税率が上がって影響も大きいことから還付についても厳しくチェックしています。平成23年からは不正還付の未遂でも処罰できるようになっています。

マジメにお金をプールしながら必死で消費税を払っている納税者が大半なだけに不正還付はきっちりと取り締まって欲しいものです。