災害と簡易課税

posted by 2016.08.23

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 熊本地震や北海道の台風被害など今年も災害の多い年になっています。
災害があった場合には多額の復旧費用がかかります。
また水浸しになった商品を再仕入れすることもあります。
このような場合に簡易課税を選択していると損をする場があります。

 

 消費税は原則課税の場合は「受け取った消費税」から「支払った消費税」を引くので災害等で「支払った消費税」が多ければ還付を受けることができます
それに対して簡易課税の場合は「受け取った消費税」つまり売上しか見ませんので災害の復旧費用等で多額の消費税を払っても還付を受けられません

 

 消費税の計算方法を簡易課税から原則課税に変更する場合は、事業年度開始前に届出を提出する必要がありますが、災害等は突然やってきます。
そこで災害等で「支払った消費税」が急増する場合は届出の提出時期に関して救済措置があります。

 具体的には災害のやんだ日から2か月以内に所轄税務署長に「災害等による消費税簡易課税制度選択不適用届出に係る特例承認申請書」と「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出し、承認を受ければ原則課税を選択することができます。
なお”災害のやんだ日”というのは地震が起こった日とは限らず、ある程度柔軟に対応してくれます。

 

 逆に例は少ないかも知れませんが原則課税から簡易課税への変更も可能です。
災害等により原則課税で事務処理する余裕がない、帳簿や請求書が消失した、というような場合は上記と同じような手続きで簡易課税を選択することもできます
当然ながら基準期間の課税売上高が5000万円以下など簡易課税を選択できる状況にあることが前提となります。

 

 なお災害で保険金を受け取った場合は消費税は不課税となりますので還付手続きには影響ありません

 

 災害等(天災、火災、盗難等)があった場合には様々な救済措置がありますので漏れのないよう適用しましょう。