勇退退職金と死亡退職金、どちらが税金的に有利なのか具体的に数字を入れて検証してみます。
<前提条件>
・退職金は勤続30年で3000万円。
死亡退職金は規程に基づいて配偶者が受け取り。
・相続人は妻と子2人で財産1億円を法定相続分で分けたと仮定。
(1) 生前に勇退
① 所得税・住民税
(3000万円-1500万円※)×1/2=750万円
※退職所得控除 40万円×20年+70万円×10年
所得税:(750万円×23%-63.6万円)×102.1%=1,111,869円
住民税:750万円×10%=75万円
② 相続税
課税対象:1億円+退職金手取り約2813万円
相続税 :約551万円(配偶者軽減考慮後)
③ 合計税額 約737万円
(2) 死亡退職金
① 所得税・住民税
なし
② 相続税
課税対象:1億円+3000万円-1500万円(非課税枠500万円×3人)
相続税 :約380万円(配偶者軽減考慮後)
③ 合計税額 約380万円
予想通り死亡退職金の方が税額は少なくなりました。
ただしこれは生前退職金に全く手をつけなかった場合の試算です。
実際には使っていくことになりますので金額は減るはずです。
極端に言えば、生前に受け取った退職金を老後資金や贈与で使い切ってしまえば相続税は305万円まで下がります。
事業承継のタイミングや余生の過ごし方、相続財産の分配の仕方などいろいろな要素で税金は変わってきますので「生前退職金は二重課税で損」と決めつけずに様々な可能性を検討する必要があります。