持株会社による相続税対策

posted by 2016.06.10

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 昨日の続きで持株会社のメリットのうち、節税に関する部分を見ていきます。
法人税や所得税は特に変わりませんが、相続税の節税効果があります。

 持株会社を使った自社株の節税方法として① 評価を下げる② 株をなくしてしまう、の2つがあります。

 

① 評価を下げる

非上場株式の評価方法として他社の業績と比較する「類似業種比準価額」というものがあります。
この方法では配当、利益、純資産を他社と比較しますが、このうち利益の比重が他の3倍あり影響が大きくなります
持株会社の場合、収入源が配当や利息などに限られますし、事業会社に比べると給料など経費の調整で利益を抑えることも可能なので株の評価を下げることができます。

注意点としては資産のうちに株の比率が高い会社「株式保有特定会社」に該当するので評価が高くなるケースがあります。
持株会社を作る場合はあらかじめ株の評価を行ない、資産のバランスを見ておく必要があります。

 

② 株をなくしてしまう

持株会社を作る場合にその株主を創業者でなく後継者にする方法です。
後継者が株主の会社を作っただけでは何も起こりませんが、作った会社が創業者から事業会社の株式を買い取ることで持株会社になります。
持株会社設立後の株価上昇は後継者の財産増加になるので、創業者の財産はその段階からは増えません

注意点としてはこの方法は株価上昇を前提としていることコストがかかることです。
創業者の株式を現金に代えるので財産額は確定しますが、逆に業績不振や不景気で株価が下がったには逆効果になります。

コストというのは譲渡所得税利息負担です。
譲渡所得税創業者が株を持株会社に売った時点で2割発生します。
株価が10億円だとすると譲渡所得税は2億円なので相続対策になるとは言え、お金は出ていきます。
利息に関しては出来立ての持株会社はお金がありませんので株を買い取るために銀行からお金を借りることになります。
持株会社は事業会社から配当をもらいながら銀行に長期的に返済していくので利息負担も馬鹿になりません。
このプランは銀行の方からよく提案されますが融資額を一気に増やせるので銀行としてはおいしいプランなのでしょう。

 

 持株会社による相続対策は効果は大きいですが、副作用もそれなりにあります。
また単なる節税だけではなく会社の成長戦略との整合性も考える必要もありますので、単純に飛びつかずよく検討してから実行しましょう。