3回目の今回は法人の地方税について地域ごとの差を見ていきます。
法人の地方税は国税との綱引きでどんどん細分化されていってますが大きくは「法人道府県民税」「法人事業税」「法人市町村民税」の3つです。
<法人道府県民税(法人税割)>
標準税率は3.2%で超過税率が都道府県によって変わります。
超過税率とは自治体ごとの上乗せ税率で資本金が1億円超の場合や法人税額が年間1000万円超の場合などに高くなります。
この基準は都道府県によって若干違うので注意が必要です。
ランキング(高い)
① 東京都:4.2%
① 大阪府:4.2%
ランキング(低い)
① 静岡県:3.2%
この3つ以外は全て4.0%で静岡県の低さが目立ちます。
<法人道府県民税(均等割)>
まず標準税率が資本金によって区分されています。
・資本金1000万円以下:2万円
・資本金1000万円超1億円以下:5万円
・資本金1億円超10億円以下 :13万円
・資本金10億円超50億円以下 :54万円
・資本金50億円超 :80万円
これに「森林~」とか「緑~」というような税金が上乗せされます。
ランキング(高い)
① 大阪府:標準税率×2倍(但し1000万円以下は2万円、1億円以下は7.5万円)
② 滋賀県:標準税率×1.11倍
③ 兵庫県、三重県など8県:標準税率×1.1倍
<法人事業税(外形標準課税なし)>
まず標準税率はこうなっています。
・所得400万円以下 3.4%
・所得400万円超800万円以下 5.1%
・所得800万円超 6.7%
ランキング(高い)
① 宮城県、東京都、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県:3.65%/5.465%/7.18%
② 神奈川県:3.638%/5.457%/7.169%
③ 愛知県 :3.550%/5.465%/6.988%
<法人市県民税(均等割)>
標準税率は資本金と従業員数で決まりますが区分が多いので従業員50人以下の一部だけ見ておきます。
・資本金1000万円以下:5万円
・資本金1000万円超1億円以下:13万円
・資本金1億円超10億円以下:16万円
ランキング(高い)
① 豊中市等全国多数:6万円/15.6万円/19.2万円
② 横浜市:5.45万円/14.17万円/17.44万円
ランキング(低い)
① 名古屋市:47.5万円/123.5万円/15.2万円
<法人市町村民税(法人税割)>
標準税率は9.7%です。
ランキング(高い)
① 高槻市他全国多数:12.1%
こうして見ると都市部の税金がやはり高く感じます。
ビジネスチャンスが多く、利便性も高いことからやむを得ない感もありますが、通信や運輸網が発達した昨今においては地方に会社を置くことのデメリットも減ってきています。
とにかく東京、とにかく都市圏ではなく、固定資産税の軽減や創業時支援なども考慮して「どこで事業を行なうか」を検討してみてもいい時代なのかも知れません。
「日本のパナマはどこにある?」と大層に始めてみましたが、個人法人とも国内にパナマのようなところはありませんでした。
これは税率の幅に制限があるなど有形無形の国の関与が強いためです。
地方自治の拡大は長年言われていますが税金の面ではまだまだ進んでいないと言えます。