改正とタイムラグ(保険の契約者変更)

posted by 2016.02.12

支払調書

 税制改正と言えば年末に出る「税制改正大綱」が有名です。
ここで決まったとしても実際の運用は先になるケースが多いです。

と言うのも法律の細かいところを詰める必要があるのと急激な変更は影響が大きいので準備期間を設けているためです。
感覚としては「忘れた頃にやってくる」感じがあります。

 その一つが『生命保険の支払調書』に関する改正。

 保険については100万円以上の保険の満期や死亡保険金の支払いがあった場合には保険会社から税務署へ報告が行きます。
この支払調書には受取人や契約者の情報が記載されていますが、平成30年以降は契約者変更に関する情報が載るようになります。

「それが何か?」という感じですが、今までバレていなかったものがバレるようになります。

 保険への課税は誰が保険料を負担していて誰が受け取ったかがポイントです。
保険料負担者≠受取人である場合には、相続税や贈与税がかかります。

通常は「契約者=保険料負担者」なのですが、契約の途中で契約者を受取人に変えてしまうと、受取人が保険料を払っていたように見えます
すると相続税や贈与税がかからず財産が移転できてしまいます。
このような脱税が横行していたため、契約者変更も支払調書に記載されることになりました。

 

 ちょっと分かりにくいので例で説明します。

① 父が契約者として保険に加入し、受取人は子ども。
生前に契約者を父から子に変更
③ 父死亡で子どもが保険金受け取り。
書類上は子どもが保険料を負担して、自分で受け取っただけなので相続税はかからず所得税(一時所得)のみかかる

 

 今後は②の段階でも変更の支払調書が出ますし、相続の時点での支払調書にも変更前の情報が載るので脱法行為はできなくなります。